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おばはん

詳しく書くとばれてしまうので書かないが、今日、あるとき、ある場所、要するにある場面で、女子中学生5人が会話しているのを30分ほど聴き続ける機会を得た。

中身は噂話。半分悪口。

なんの根拠もない悪口を、「~に見えた」「~と感じた」「普通はこうするよね」「だれでもこうしない?」とエピソードともつかないエピソードで展開していく。しかも、全員が大きく、しかも派手にうなずき、どんどんどんどんそのトーンがエスカレートしていく。

全員がまだ中学生だというのに、その会話は完全に「おばはん」のそれである(笑)。

題材になっている女の子、つまり悪口を言われている女の子は結局、何も悪いことはしていない。少なくともぼくが聴いた限り、彼女のミスはそこにいた女の子たちの前で、少々ネガティヴな表情をしたというだけである。しかもそれは一瞬のことであるらしい。

それだけのことである。

たったそれだけのことである。

だれかを攻撃したわけでもない。嘲笑されるようなミスを犯したわけでもない。だれかに迷惑をかけたわけでもない。

それなのに、その5人は自分たちの感情の共通性、いや、自分たちの感情というものの在り方の共通性とでもいうべきか、それを確認するかのように、どんどんどんどん口調をエスカレートさせていく。そのエスカレートの仕方は「少しずつ」でも「次第に」でも「だんだん」でもない。あくまで「どんどん」である。しかも「どんどんどんどん」とそれを二度重ねなければ表現できないような勢いのエスカレートなのであった。

世のおじさんたちは自分の妻がいつからこんな「おばさん」になってしまったのかと嘆く。しかし、妻は結婚してから「おばさん」になったのではない。十代の頃から、中学生の頃から、既に「おばさん」だったのである(笑)。

二十代のときは女性がそれをうまく隠していたか、男の側が盲目化していて見ていなかっただけだ。

とすれば、噂話とか悪口のエスカレートというのは、女性の特質であって「おばはん」のそれではない、ということになる。

飲み会で女性が別の女性の悪口を言っているのを見て、あまりのおもしろさに腹を抱えることがあるが、女同士のそれはなかなか聞く機会がないのでとてもおもしろかった。

しかし、もう一度そういう会話を聞きたいとはあまり思わないのもまた事実である。こうした会話は、我々の悪いヤツの会話とはどこかが根本的に違う。どこが違うのかについては、もう少し思考を要する(笑)。

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コメント

「陰湿」または「陰気」
今の女子中学生の会話には、2つの言葉が僕たちの頃よりも強くなった気がします。もちろん、みんながみんなそうじゃないと思いますが…。
悪口がだんだんエスカレートして、特定の人をいじめることに発展するケースが多い現状、普通に会話することの難しさを感じてしまいます。
少なくとも、いくつかの女子グループがあっても、僕たちの頃には、陰湿さを感じるグループはごく少数だと思います。

投稿: 厚別中学校卒業元3-6平井 壱武(かず) | 2010年9月28日 (火) 21時00分

ははは……(笑)。おまえがこれに食いついたか。彼女たちはおまえが思っているような悪いヤツらじゃないよ。ふつうの「いい子たち」だ。このくらいのことは人間的であり、許されることに過ぎない。言ってみれば、彼女たちが言っていることと、おまえがこのブログのコメントとして書いていることとは、構造的には同じことだよ。

投稿: 堀裕嗣 | 2010年10月 6日 (水) 23時34分

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