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一石二鳥

先のブログに教育実習生の授業を見て「助言メモ」を記入して渡していると書きました。それが真っ赤になっているとも書きました。わかりにくいと思うので、実物を示します。

100826_2 いかがでしょうか。かなり丁寧で具体的な指導が行われていることが伝わると思います。

ぼくは小学校の教育実習で中村先生という指導教諭からずいぶんと丁寧な指導を受けました。しかも、実習初日から授業をさせてくれるという、かなり大胆な指導も受けました。

一方、中学校実習では○○先生(名前は書かないことにします)から、かなり粗雑な指導を受けた記憶があります。口を開けば前に担当した実習生の悪口と生徒の悪口。確かに落ち着いた学校ではありませんでしたが、これだけ生徒の悪口を言う先生がまともな教育をしているとはとうてい思えません。この先生の授業は学生のぼくから見ても、まあひどい授業でした。

小学校実習の指導教諭がよかっただけに、中学校実習ではどうしても指導の先生を小学校の中村先生と比較してしまいます。それと同時に、自分が現場に出て実習生をもった際には、間違ってもこんな指導はするまいと誓ったのでした。

現場に出て以来、今回が6人目の教育実習生になります。2人目をもったときからこの「授業記録型助言メモ」を記すようになり、いまだに続けている手法です。

実は、このメモを渡すこと以外、ぼくは授業については一切の指導をしません。音声で指導を飛び交わしてもおそらくは実習生が現段階の実習生なりに解釈するだけです。メモを渡せば、何度も読み返します。少なくとも読み返すことができる状況が生まれます。もしかしたら、ぼくの意図がちゃんと伝わるのは大学に戻ってからかも知れませんし、教壇に立ったあとかも知れません。下手をすると、一生気づかないかも知れません。しかしそれでも、文書にさえ残しておけば、あとで気がつく、気づき得る可能性が生まれるのです。

そんなふうに考えて、ぼくは今日も上のようなメモを書いているのです。

ついでに言えば、このメモは実習生のためにというばかりでなく、自分のために書いているという側面もあります。よくない授業、下手な授業を分析することは、実はかなり有益な作業です。何が原因で失敗したのか、どうすればよくなるのか、そういうことをただただ具体的に指摘し、代案を示し続けていくわけですから、これは自分の実力が記述されることをも意味しているのです。

正直に言えば、ぼくはこうしたメモを何度か研究会提案の資料にしたことさえあります。

若い同僚に授業を見てくれと言われたときにも、こうしたメモを書いて渡します。現場経験のある人間は、3~5回も授業を見てこのメモを渡せば格段に上達します。

初めてもった実習生にもこの指導をしてあげられることができたら、もう少しちゃんと育ててあげられたのに……そんなふうに後悔することがいまでもあります。もう名前も忘れてしまったあの女の子は、いまごろ何をしているのだろうか、教師になったのだろうか、そんなことを考えるのです。

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