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悪いヤツ

「悪いヤツ」が6人集まって呑みました。

20代から60代まで、全員が筋金入りの「悪いヤツ」です。

「悪いヤツ」が6人も集まると、話題も「悪いネタ」ばかりになります。「悪いネタ」ってのは何よりおもしろい。だから仕方がありません。腹を抱えて、ひっくり返って笑えます。居酒屋の他の客に迷惑をかけてしまうほどです。

「悪いネタ」とは他人の悪口のことです。それも笑える悪口です。「悪いヤツ」は笑えない悪口は言いません。笑えない悪口を言うのは「イヤなヤツ」です。「悪いヤツ」は好きな人の悪口しか言いません。例えば、いまいっしょに呑んでいる目の前にいるヤツの悪口とか、日常的に可愛がっている後輩の悪口とか、細君の悪口とか……。だからこそ腹を抱えて、ひっくり返って笑えるのです。

例えば…

ある学校に気の小さな若手教師がいます。その若者は空気が読めません。しかも、想像を絶するような気の小ささをもっています。ちょっと心配事があると、躰にぶつぶつができたりします。そんな若者ですから、常に先のことを気にします。6月の学年打ち合わせで11月の学習発表会の題材を決めようとしたり、8月の学年打ち合わせで卒業式のピアノ伴奏の子どもを決めようとしたりします。もちろん、同僚たちは困ってしまいます。だって、6月は1学期をどう締めるかを考えるものであり、8月は2学期の行事をどう運営するかを考えるものなのですから。こんなヤツは困ります。

例えば…

ある学校に言葉遣いのおかしな若手教師がいます。同僚の女性の先生方が修学旅行の記念写真を見ていた折、「あら、○○先生は写真うつりがいいですね。かわいい」「あっ、ほんとだ、かわいい!」と盛り上がっているのを見て、その若者はある女性教師に対して「○○先生だって、ぼちぼちかわいいですよ」と言ったというのです。しかも、その言葉に一瞬で凍り付いたまわりの先生たちを見て、「ぼく、何か変なこと言いました?」とほざいたというのです。「ぼちぼち」という副詞と「かわいい」という形容詞はだれがどう考えても結びつきません。こんなヤツは困ります。

例えば、

ある学校に調子のいい若手教師がいます。ある年、自分の勤めている学校に10歳も年上の先輩教師が転勤してくることになりました。その先輩教師とは数年前、一度だけ地方の研究会で酒席をともにしたことがあります。しかし、酒席をともにしたといっても、確かに同じ部屋では呑んでいたのですが、席も離れており、ひと言も会話を交わしませんでした。そんな関係の先輩教師が転勤してくることを知って、同僚たちに「今度、オレのダチが来るんだ」と言い回ったそうです。しかも、その学校にはその先輩教師の友人がたくさんいて、転勤してくる前には既にその若者に自分が「ダチ」呼ばわりされているということが、その先輩教師の耳に入っていたそうです。その先輩教師はいったいどう感じたでしょうか。こんなヤツは困ります。

実はここで挙げた3つの例は、すべて同一人物。同じ若者のことです。しかも、「悪いヤツ」6人の呑み会でこの3つの話をしたのもすべて同一人物。しかもしかも、その人物は3つ目の例でこの若者に「ダチ」呼ばわりされた先輩教師なのです。

彼は、それはそれは楽しそうに、ぼちぼちかわいい笑顔でこの3つの話をまくしたててくれました。おかげで他の5人は3時間半も大笑いすることができました。

きっと6人の中で、こいつが一番「悪いヤツ」なのではないでしょうか。

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