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それにしても……

それにしても、何という楽しい一日だったことか。

山田洋一くんの授業を題材としての国語科授業塾。この企画も第5回を迎えて、フォーマットもしっかりしてきた。一つ一つの講座というかコーナーがよどみなく進み、意図したとおりの展開が意図したとおりに明らかになっていく。

まず教材がよかった。まど・みちおの「イナゴ」。教育出版の6年生の教材だそうだが、さすがにまど・みちおといった感じの素晴らしい詩。平易な表現で哲学的。構造主義的な分析にも、実存主義的な鑑賞にも堪えうる、見事な言葉の芸術。戦後の詩人としてはまさしくナンバーワンである。ぼくは「谷川俊太郎よりも5万倍すごい詩人」とよく言う(笑)。

山田くんの授業も一級品。教材の読み取りが浅いのではないかとの問題が指摘されたものの、それは最低限をはるかに超えた教材解釈において……という次元のもの。つまり、子どもたち相手の授業を想定してのものではなく、詩作品として鑑賞するうえでの次元のものである。久し振りに文学的なというか、大学時代のゼミのような知的興奮を覚える教材解釈論争だった。

実践研究というものはこうでなくてはいけない。子ども相手だからこの辺でいいやとか、このあたりまで読めば授業としては成立するとかいった、低い目的意識に基づいた低い基準で満足してはいけない。その意味で、今回のストップモーションは授業技術的な議論のほとんどない、いや、授業技術とかなり深い教材解釈・教材特性とをがっちりとリンクさせての議論になった。

これも山田洋一という授業者の授業技術が確かであること、そして一つ一つの授業場面をメタ認知して的確に言語化する能力をもっていること、更には指摘されたことを「なるほど…」と引き取ったり、指摘されたことを咀嚼したうえで「ここは納得できない」と反論したりという実践的謙虚さをもっていること、これらのことが大きい。

ライフヒストリーアプローチからファシリテーションへという流れもずいぶんとスムーズで、スムーズなだけでなくちゃんと機能していて、これまた有意義な時間だった。現実的な授業技術から、時代認識や子どもの変容への対応まで、小さなことから大きなことまでかなり多様な課題が明らかになった。

ぼくはとしても個人的に、これから考えていくべき課題に出逢うことができた。これが大きかった。大袈裟にいえば、今後への展望が開けた一日になった。

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コメント

堀さん 土曜日はお世話になりました。私のような教師でもみなさんの研修の素材として役割を果たせたことにホッとしております。堀さんの勉強会はいつも前日までは苦しいのですが、当日はウソのように楽しいです。自分の講座がひどくてもすっきりします。それは、堀さんの価値付けの上手さにあると思います。どんなことでも前向きに価値付けされるお力(説明力・説得力)を尊敬しています。今後ともよろしくご指導下さい。

投稿: 山田洋一 | 2010年7月13日 (火) 05時53分

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