安田
50をとうに過ぎて、残り数年になっても延長戦を闘っている教師がいる。延長戦は突出したスターのサヨナラホームランで決まることは少ない。球筋を見極め四球を選び、バントで送って次打者の安打を待つ。エンドランをかけるぞ、盗塁もあるぞ、と内野手を攪乱するランナーの動きも肝心だ。打者はミートを心がけ、決して引っ張らない、決して欲張らない決意をもって打席に立つ。要するにチーム力がものを言う、それが延長戦である。元気出せよ、一人じゃないよ、あいつには俺から話してみるよと、同僚はもちろん、ときには管理職をもフォローする。そんな教師が少なからずいる。
その一方で、20代で敗戦処理みたいな仕事しかしない教師がいる。締め切りまでに仕事が間に合わない。当然のように毎日残業を重ねる。それでいてホームランまで打たれてしまう大チョンボ。次第に職員室をあきれさせてしまう若手教師。かわいがられて嗤われているうちが華である。そのまま30を超えたとき、職員室のお荷物になっていく。転勤すれば、「○○校では若手が育たないらしい」なんて前任校の評判まで落としてしまう。そんな教師が少なからず存在する。
江川や松坂みたいな教師もいるにはいる。でも、多くの場合、彼らにはいい捕手がいなくて、独り相撲を演じてしまう。江川や松坂には阿部慎之助や城島みたいな捕手じゃダメで、山倉とか村田みたいな投手リードで投げられるキャッチャーか、伊東とか古田みたいな人間性でチームを引っ張れるキャッチャーか、どちらかが必要なのだ。しかも、鈴木啓示にとっての有田修三みたいに替えが効かないのも特徴である。江川や松坂みたいな超エース級の教師には、どうしても替えの効かない名捕手が必要なんだよねえ。
きっと松岡がいて安田がいて、どちらも操れる大矢がいて、それでいて監督は広岡みたいな能面タイプ、あの50年代前半のヤクルトみたいなのが割と職員室にはいいのかもしれない。それだけいりゃあ、まあ安定的な闘いができる。そこに大杉とかマニエルみたいのがいれば一気に優勝……つまり、大きな学校改革ができるってことなんだろうなあ。
そういえば、安田みたいなピッチャーって昔はずいぶんいたよなぁ。それもしっかりとエース級で。ロッテの水谷とか、中日の安木とか、西武の杉本とか、南海(ダイエーだったかな?)の西川とか、阪急(オリックスだったかな?)の星野とか。往年の西武には永射っていうとてつもない変則ピッチャーがいたっけ。あれに比べりゃ、岩瀬なんか本格派だね。岩瀬みたいのが本当に力を発揮するには、もう一枚、同じような右が必要なんだよね。ほら、鹿取と角みたいなさ。とにもかくにも、職員室に安田がいると、まわらないものが本当にまわるんだよなあ。
うん。結局、職員室にもっとも必要なのは安田なんだ。今夜はそう確信した。
【自己レス】
これウケる人にはウケるだろうなあ……。たとえば對馬くんとか。山下くんも固いな。池田さんもいけるかもしれない。野中さんは五分五分だな。藤原なんか、何言ってるかわかんないんだろうな。
【自己レス2】
いま、たまらなく「がんばれ タブチくん」が見たいな。
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コメント
>>いま、たまらなく「がんばれ タブチくん」が見たいな。
ここに反応する私は、やっぱり理解しているのだと思います(^^)。
投稿: 池田修 | 2010年1月 6日 (水) 16時41分
ふふふ。そうでしょう。
投稿: 堀裕嗣 | 2010年1月 6日 (水) 17時27分
確かに,とっても伝わる話でした。
「がんばれ タブチくん」久々に読みたくなりました。そういえば,いろんな魔球を投げていたよなあ。投げたときにボールがぱかっと割れて,「見逃してください」と連呼しながらミットに向かっていく魔球とか。
投稿: 對馬 | 2010年1月 8日 (金) 00時09分
ははは!そうでしょう!
投稿: 堀裕嗣 | 2010年1月 8日 (金) 00時20分