人生ベストテン
「人生ベストテン」角田光代/講談社文庫/2008.03.14
初めてこの作家の小説を読んだ。セミナーで他の登壇者が講座をやっている折、暇をもてあまして入った書店で平積みにされていた。イッセー尾形が帯にコメントを寄せていたので、思わず手に取った。どうせ暇なのだからと買った。
2003年の作品らしい。
セミナー会場に戻って、森くんの講座中に表題作を読んだ。ぼくの読んだことのないタイプの小説である。女のやわらかい視座がある。したがって、ぼくの好みではない。何かを学んだり何かを感じたり、そういうことのない小説である。文章もそれほどうまいわけではない。
しかし、帰宅してソファに寝転がって、6編の短編すべてを読んだ。どうでもいい日常の中にある、ちょっとだけ変わった出会い。人生を劇的には変えないけれど、精神にはちょっとだけ何かを遺す出会い。共通して描かれているテーマは要するにそういうこと。一コマ一コマの切り取り方に特徴があると言えばある。アングルの使い方はうまいのかもしれない。
いま流行している文学性というのはこういう〈日常性〉なのだな、と感じた。そういう意味では、読んで良かったと思う。
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