誇大自己症候群
「誇大自己症候群」岡田尊司/ちくま新書/2005.09.10
非常に便利な言葉を編み出してくれたな……というのが率直な印象。
しかし、それ以外は、前半に引かれている事例も一般的でどこかで読んだようなものが続き、「誇大自己症候群を生む現代社会」「身近にひそむ誇大自己症候群」「誇大自己症候群の克服」と続く後半もいまひとつ鋭さに欠ける。読後は、著者の「ひとつの視点からすべてを見直してみよう」という気概はよくわかるのだが、便利なネーミングほど分析を大雑把にしてしまうものだなあ……というものだった。少なくとも、「それは誇大自己症候群だね」という言葉は、居酒屋談義以外では聞きたくない。職員室でそれを聞いたら、ぼくはきっと怒ると思う。
自らの発想をどんどん拡大解釈して全体志向に走るのではなく、著者の現場経験から前半の事例に関してもっとねちっこく語ってくれればいいのになあ、と感じた。ただし、読んでいて「あるある」とニヤニヤしてしまう箇所は多々あり、読後感は決して悪くないし、文章もいい。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「結びつき」の強いクラスをつくる50のアイデア(2016.03.11)
- 著作一覧(2016.03.05)
- 『若手育成 10の鉄則・100の言葉がけ』(2016.03.05)
- 国語科授業づくり10の原理・100の言語技術 義務教育で培う国語学力(2016.03.05)
- 「THE 教師力」シリーズ関連(2016.12.31)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント