自分に置き換える
1年ほど前のセミナーでのこと。「リーダーの育て方」というワークショップ型講座で、先生方に「学級リーダーの3条件といえば?」と問うたところ、ものすごく高度な3条件が挙げられたことがある。
それに対して、あなたは職員室において、その3条件を満たしていますか? と少し意地悪な問いかけをすると、みんなシュンとしてしまった。
つい先日のセミナーでのこと。全国学力・学習状況調査で家庭学習が30分以下だったことを受けて、生徒たちに一日平均1時間の家庭学習習慣をつけようとする取り組みとして、生徒全員に「My Note」と称して家庭学習ノートを配付した。いわば、「家庭学習時間倍増計画」である。しかし、最初こそ提出があったものの、次第に提出率が下がり、いまではあまり機能しなくなってきている。何かいい手立てはないか。こういう質問がなされた。
ぼくは応えた。先生、教材研究は一日何時間していますか。その先生は1時間程度と答えた。では、あなたは毎日、教材研究を2時間しなさいということで、教育委員会から「My Note」と称されたノートが配付された。あたなはそれを継続できると思いますか。会場が笑いで包まれた。
どうも教師というものは、生徒たちに自分が課していることーについて、自分だったらできるかな…と、「自分に置き換えて考える」ということをしない傾向があるらしい。
この「My Note」の事例なら笑えるけれど、「学級リーダーの3条件」には、笑い話にならないほどに厳しい条件が並んでいた。まるで学級リーダーには聖人君子であるかごとき徳性が備わっているべきとでも言わんとする、そんな厳しい条件がズラリである。
生徒に強制していることについて、「自分に置き換えて考え」てみるだけで、ずいぶんと世界観が変わるはずである。多くの教師に伝えたい。
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