« インフルエンザの流行と授業時数確保 | トップページ | 古書店事故 »

生活班と奉仕班とはベクトルが異なる

学級組織は多くの場合、生活班と奉仕班で構成されます。生活班とは日常的に学校生活を送る班。奉仕班はいわゆる「係活動」を指します。生活班と奉仕班を別々に組織することもありますし、生活班と奉仕班とを一致させて組織することもあります。本章ではわかりやすくするために、便宜上、生活班組織づくりを「班づくり」、奉仕班組織づくりを「係組織づくり」と呼びましょう。

班づくりは席替え・係活動と連動し、修学旅行や宿泊学習、遠足、現地学習などの校外学習の動きとも連動するのが一般的です。また、生徒会組織とも連動しますから、学校行事では委員会や外局ともつながりをもっていると機能的です。更に、日常の学校生活では授業中の生徒も同士の交流の単位として機能させたり、給食・清掃・日直といった当番活動の単位として機能させたりと、学習・生活双方において、学級づくりの要素として非常に大きな意味をもちます。

こうした重要な意味をもつ「学級組織づくり」において最も根幹となるのは、「偶然性を排除する」ということです。つまり、くじで決めたり、ジャンケンで決めたりしない、ということです。しかし、だからと言って、教師が一方的に決めるというわけにもいきません。教師がアドヴァイスをしながら、或いはその時々によって教師がその意図を説明しながら、学級リーダーに考えさせていくというのが現実的ではないでしょうか。

一方、係活動組織の構成は一般的に、学級代表や議長団で構成される「総務系」、日常の学校生活を安全かつ規律ある状態に保つことを目的とする「生活・環境系」、学級の学力向上、学校・学年行事や総合的な学習の時間の学習活動の効果を高めることを目的とする「文化・学習系」の三つに分かれます。

生徒達が系統の異なる二重の仕事に四苦八苦することを避けるため、生徒会活動と連動させ、学校の生徒会組織(委員会)に倣った係組織をつくるとよいでしょう。例えば、生活委員は生活係に、文化委員は文化係に、編集委員は編集係に、というようにです。また、生徒達に余裕があれば、係活動組織には学級の雑務を分担させるだけでなく、独自の活動をさせると学級集団に潤いが出ます。

班組織づくりは生徒達に楽しく安心して学校生活を送ってもらおうとの思想に支えられ、係活動組織づくりは必要な仕事をみんなで分担することによって学校生活に自治的な風土をつくろうとの思想に支えられています。その意味で、新組織づくりと係活動組織づくりとは向いている方向が異なる、といえるでしょう。

|

« インフルエンザの流行と授業時数確保 | トップページ | 古書店事故 »

書斎日記」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 生活班と奉仕班とはベクトルが異なる:

« インフルエンザの流行と授業時数確保 | トップページ | 古書店事故 »