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バランス

「発つ鳥跡を濁さず」という。ましてや、発ってしまった鳥に何もいう資格はない。それはよくわかっているのだが、いわずにいられない思いを抱いてしまった。

失礼にあたるし、不遜なことでもあるのだが、書いてみようと思う。

実は今日、3月まで勤務していた上篠路中学校のバドミントン部の中体連大会を見に行った。昨夜、生徒から見に来いと電話があったので、少々気が引けたが見に行ったというわけである。

驚いた。

生徒たちのメンタル面が目に見えて弱くなっている。

3点リードされた程度で、表情に、明らかな不安と焦りが浮かんでいる。逆に、3点リードした程度で「勝てるかもしれない…」というゆるみが表情に出てしまっている。3点なんてワンチャンスに過ぎないということをいやというほど知っている生徒たちが、その誘惑と焦燥に勝てなくなっている。

技術に頼り、相手を押し込むことを忘れている。クリアに甘さが出て、シャトルを叩いて相手をばたつかせる場面が見られない。スマッシュの優先順位が慎重に打つことになってしまっている。前後で戦わずに、左右に振ることで闘っている。

3月までの2年間、バドミントンなどやったこともない顧問4人が、体力づくりと精神論だけで指導してきたバドミントン部だった。それでもそれなりの成果を挙げていた。ぼくが転勤するにあたって、バドミントンの専門家が転勤してくるということで、ぼくは安心していた。

ぼくたちができなかった技術指導。

顧問4人が雁首そろえて技術指導ができない。そこに常に限界を感じていたバドミントン部。それが払拭されることを、ぼくも、他の顧問も、みんなが単純に喜んでいた。技術指導のできる顧問が来ることは、ぼくら顧問にとっての、そして生徒たちにとっての、つまりは上篠路中バドミントン部にとっての、「夢」だった。

あのバドミントン部は、明らかに技術指導に飢えていた。それがあの生徒たちを技術に頼る生徒たちに変えてしまったのだと思う。

こう書いてきたが、新しい顧問のせいではない。かといって、ぼくら素人顧問軍団のせいというのでもない。そうではないのだ。

精神論指導を受けた2年間と、技術指導を受けた3年目との間で、生徒たちのバランスが崩れてしまったのだ。新たなバランスがまだできあがっていない、そういう時期に大会があたってしまったのだ。あと数ヶ月がたって、新しい顧問の指導方針が骨の髄まで染みわたっていれば、もっともっと彼らは躍動できたはずなのだ。

何試合かを見ていて、それを感じずにはいられなかった。

いまの2年生を中心とした新しいチームが、新しい顧問のもとで早く「チーム」となり、新しい顧問の指導方針が血肉化していくことを強く望む。

とにかく今日は、ここ数年でもっとも勉強になった。そんな一日だった。

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