教室
毎年のことだが、年度末の最後の週というのは寂しいものである。
これまで教室をはなやかに彩っていた掲示物をすべてはがす。班ポスターも、係ポスターも、当番表も、行事予定も、各種通信も、そして一年間の軌跡たる賞状も……。カレンダーだけが残る。教卓の中から、テレビ台の中から、窓際の棚の中から、物をすべて出して雑巾がけをする。
大掃除が終わると、教室が妙に殺風景になる。
4月には確かに、この殺風景な教室に入ってきたはずなのだが、この30分ほどの大掃除で、一年間の歴史が、いや、一年間の歴史の証が消える。
この一年間、1年1組という学級が確かに存在し、泣き、笑い、目標を達成したり達成できなかったり、行事で優勝したり優勝できなかったりしたという証が、消えてゆく。
そして2週間後にはまた、新たな1年1組、呼び名だけが同じの、別の時間が流れていく。
そういうものなのだ。
だって、いま、この教室には4年前、確かにあったはずの、やはり呼び名だけが同じの、かつてのぼくの1年1組は、そのかけらさえ遺っていないもの。
そんなものなのだよ。教室というものは。
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