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カフェイン抜きのコーヒー

危険や害悪を排除して、快楽だけを残そうとするメンテリティ。

いまこの国はそういう発想にあふれている。カフェイン抜きのコーヒーは、果たしてコーヒーといえるのか。ノンアルコールのビールはどうか。脂肪抜きのミルクは? コレステロール抜きのマヨネーズは? なぜ刺身につける量を減らさずに、醤油自体を減塩にするのか。

この発想を少し広げてみれば、様々な思考ができるはずだ。信仰のない宗教は宗教といえるか。避妊具を用いた性行為は果たして性行為なのか。幻覚を生じない覚醒剤なら使っても許されるか。危険性のない大麻なら若麒麟は許されたのか。

摩擦のない人間関係は人間関係といえるか。喧嘩のない学級はどうか。いじめのない学校は果たして本当に人を育てるのか。

指導力不足教員は本当に学校から廃絶した方が良いのか。指導力不足とは相対的なものではないのか。指導力不足教員を100人排除したら、101番目から200番目までが新たな「指導力不足教員」にならないか。

はっきり言おう。「指導力不足教員」を100人排除したら、次はあなたの番だ。そしてぼくの番だ。

物理の問題じゃあるまいし、「摩擦抵抗はないものとする」なんていう理想論で現実を語ってはいけない。そんな理想を求めてはいけない。そんな馬鹿げた理想を追ってはいけない。 

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